こんにちは、もへじです。
突然ですが、みなさんは「クレーム」という言葉を聞くと、どんなことをイメージしますか?
お店のレジなので店員に土下座をさせるようなハードなクレーマーを思い浮かべるでしょうか。
あるいはなにを言っても喧嘩口調で返してくるパートナーの顔を思い浮かべるでしょうか?(笑)
誰でも怒りに満ちたクレームを聞くのは嫌ですし、クレームを言われている当事者が自分だったらと考えると、怖くなっちゃいまし、何が悪いかわからないけど恐ろしくてとりあえずゴメンナサイしたくなりますよね。
ですがその「謝罪」の仕方一つでクレームを言ってきた相手の怒りをさらに燃え上がらせてしまうことも、火力を弱くすることもできるとしたら・・・最高ですよね!
そこで今回は、クレームを言ってくる人の相手をしなければならない場合に効果的な「謝罪の仕方」について、コールセンターの管理&教育係を10年経験してきた私が詳しく伝授します!
クレームを言ってくる相手や怒った口調で攻め立てるように話してくる相手が苦手で怖い・・・そんなあなたに読んでいただきたい内容です(^_-)-☆
もくじ
謝り方を知らない日本人
私たちは子供のころから、親や学校の先生から「悪いことをしたら謝りなさい」と口酸っぱく教えられてきましたよね。
でもちょっと思い出してほしいんです。
皆さんは子供のころに「謝りなさい」とは言われ続けてきたと思いますが、「どう謝ればよいのか」について、誰かからかきちんと教えてもらったことがありますか?
そうなんです。実は日本では、ほとんどの方は、誰からも「正しい謝り方」なんて教えてもらっていないんです。
もし謝ることについて何かしら教えてもらっていたとすれば、例えば「誠心誠意、心を込めて」といった精神論じみたことや、「礼の角度」や「土下座」といった謝罪のスタイルについてだけではないでしょうか。
このブログでも度々書かせていただいていますが、円滑なコミュニケーションとは技術の上に成り立つものであり、謝罪するという行動もコミュニケーションの一つのスキルです。
ですので、正しく「謝罪」というスキルを身に着けておけば、会話やコミュニケーションにおいて主導権を握り、自分の望むような進め方ができるようになるんです!
謝罪の種類
日常生活でも謝罪というものはあちこちで目にする機会があります。
例えば相手にゴメンナサイという気持ちを伝えたい時だったり、クレームを落ち着かせたい時。
またはテレビなどで不祥事を起こした人や不正を行った会社の社長がまぶしいほどのフラッシュの中で頭を下げている映像が流れていたり・・
言葉の調子も「あっ、ごめーん」といった軽いものから、「大変申し訳ありませんでした」といったきちんとしたものまでさまざまです。
このように巷にあふれる「謝罪」ですが、実は大きく二つの種類に分けることができます。
一つ目は「全謝罪」、もう一つは「部分謝罪」です。
全謝罪
「この度はまことに申し訳ありませんでした」
「た、、大変申し訳ありませんでした!」
こんな謝罪の言葉を耳にしたことありませんか?
そう、よく不祥事を起こしてしまった政治家やどこかの会社の社長などが謝罪会見などで多くの報道陣の前で行う謝罪の最初の言葉でよく聞くセリフです。
またコンビニなどでハードなクレームを言ってきた相手に対して店員や店長がとにかく謝るといったシーンでも出てくるイメージがありますね。
これは謝罪の種類でいうと「全謝罪」という謝り方になります。
全謝罪のデメリット
実は多くの日本人は、謝ると言ったら無意識のうちにこの「全謝罪」をしています。
それは子供のころから「悪いことをしたらとりあえず謝罪」としか教えてこられなかったのでしょうがないことではあるのですが、実際にはこの全謝罪、コミュニケーションの上ではデメリットの塊のような謝り方です。
全謝罪のデメリットは次のようなものが挙げられます。
- 相手に主導権を握られてしまう可能性が高い
- 不平等な関係性が出来上がってしまう
- 後からこちらの言い分が受け入れられづらい
早くその場の問題を収めたいという思いから、謝罪する際ただ単に「ごめんなさい」や「もうしわけありません」といった言葉で謝罪してしまう場合が多いですが、その場合クレームを言ってきている相手は「自分が主張すること、怒っていることについてこの人は全面的に謝っている」と受け止めてしまい、そのコミュニケーションにおいて不平等な関係性が出来上がってしまうんですよね。
全面的に謝罪したのだからと、クレーマーの要求がエスカレートしてしまったり、こちらの言い分をまったく聞かなくなったり良いことは一つもありません。
ですが非常に多くの方が、クレームや追い詰められた状況からとにかく逃げたい一心でこの「全謝罪」をしてしまいがちです。
部分謝罪
全謝罪のデメリットについて説明させていただきましたが、ではどうしたらコミュニケーションする上で相手より優位に立つことができるのでしょうか。
その答えは「部分謝罪」という技術を利用した謝罪をすることにあります。
全謝罪が「ただ謝る」ことだとすると、この「部分謝罪」は、何について謝罪するのかをまず明確に示し、その点について謝罪するということになります。
相手の言い分のうち、こちらに非があることであれば、まずその「非の個所」を言葉で相手に伝え、その個所について謝るのです。
そうすることで、相手の言い分すべてについて謝罪するのではなく、相手の言い分のうちこちらが謝罪すべき点、つまり解決・改善しなければならない点を示すことで、クレーム解決のゴールを共有することができます。
またクレームを言ってくる相手は怒りや悲しみが入り混じった感情のまま、何が本当に解決したいのかが自分でも整理できていない状態のことが多いです。
そのため「部分謝罪」で謝罪すべき点を整理することは、相手が本当に解決してほしいことを示して差し上げることにもつながります。
整理できていなかった相手のニーズを「言い換え」や「ボイスチェンジ」といったコミュニケーションスキルを用いながら明示してあげることで、相手の感情のクールダウンが期待できるうえ、会話の主導権は自然とこちら側に回ってきます。
まさに「部分謝罪」はクレーム対応においてとにかく有効な謝罪の仕方なんです!
部分謝罪のコツ
ちょっとした工夫なのにクレーム処理においては絶大な効果を発揮する「部分謝罪」ですが、実践する場合いくつか注意点があります。
ここからは部分謝罪を行う場合に気を付けなければならないポイントと上手に利用するコツについて解説しますね。
相手の言い分をしっかり聴く
クレームを言ってくる相手は怒りの炎にまみれており、正対すると怖いですし逃げ出したくなるものです。
ですが、クレームを言ってくるほど悔しくて悲しい思いをしたと思いやり、まずは相手の話を遮らずに聞いてあげることが大切になります。
そして時折相手の話してきた内容を繰り返したり、言い方を変えて「こういうことですよね」という確認をしてあげるなどの手順をふみ、「あなたの話をしっかり聴くよ」という態度を見せてあげましょう。
話を聞くことで相手のクールダウンも期待できるだけでなく、相手の中でも整理できていない本当のゴールが共有できるようになります。
慣れないうちはちょっと怖いかもしれませんが、ぜひ「聴く」ことにチャレンジしてみましょう。
部分謝罪の直後の発言に気を付ける
もうひとつのポイントは少し具体的な話になります。
それは、部分謝罪のあとに「しかし」や「ですが」、「でも」といった、そのあとに反対の内容の言葉が続くことになる接続詞を使わないという内容になります。
例えば、「〇〇さんがご購入された服のサイズが合わなかったとのこと、ご迷惑をおかけして申し訳ありません。しかしながら今回ご購入いただいが商品は表示よりも若干小さめになっているので、商品としては問題がないのでございます。」
とか
「△△様、10分もお待たせしてしまい申し訳ありません、ですが電車が遅れていましたし、約束のお時間の5分前にお電話もさせていただいたのですがお出にならなかったため事情をお伝えできませんでした」
といった感じです。
謝罪の後に「しかし」などの接続詞を用いた場合、そのあとにはこちら側の事情や正論などが続く流れとなりますが、実は怒りの感情に任せてクレームを言ってきている相手には、正論だろうがこちらの事情だろうが、自分の意に反する内容の言葉は怒りを増長させるフレーズでしかありません。
理不尽に感じるかもしれませんが、クレームなんでそんなもんです。
こちらの言い分や正論、どうするのがお互いに気分を害さずニーズが満たされるかの提案などは、クレームを言ってくる方の話を聴いてクールダウンしてからということが鉄則ですので覚えておいてくださいね。
部分謝罪をする個所以外は謝らない
3つ目のポイントは、少しわかりづらいかもしれませんが、「部分謝罪でポイントを絞って謝ったあと、謝る対象を増やさない」という点になります。
部分謝罪として謝る場合、謝る対象となるポイントは多くて2点くらいに抑え、まずはその内容にのみしっかりと謝罪し相手の問題解決につながる提案へと話を進めるようにしましょう。
そうしないと、何について謝罪していて、クレームの着地点がブレブレになってしまいかねません。
相手の言動から相手が一番解決したい内容について迷惑をかけたことだけをしっかり謝り、ではどうしたらその問題を解決できるのか という一連の流れをブレることなく完走することを意識しましょう。
まとめ
みなさんが嫌がるクレーム対応のなかで有効な「謝罪の仕方」についてご紹介しましたがいかがだったでしょうか。
今回ご紹介した「部分謝罪」というテクニックは、多くのクレームを取り扱うコールセンターでは絶対に守るべき謝罪方法として教えられます。
多くの方たちがその場を早く収めるためについついやってしまう「全謝罪」ではなく、「部分謝罪」という技術とそのほかのコミュニケーションスキルを駆使することで、あれだけ怖いと思っていたクレームへの対応が問題なくできるようになりますので、ぜひ身に着けられるよう練習してみてくださいね!